はしか感染、すでに115人 昨年の35人上回る
【朝日新聞 2016年9月21日】
関西空港などで集団感染が起きたはしか(麻疹)の患者が、今年は9月11日までに計115人になったと、国立感染症研究所が20日、速報値を発表した。特に直近の4週間で96人と集中的に感染が確認されている。昨年は1年間で35人だった。専門家は「ワクチン接種はまずは子どもを優先してほしい」と注意を呼びかけている。
感染研によると、今年の週ごと患者数は8月の第2週までは0~3人で推移していたが、8月中旬以降は週当たり13~37人が報告された。115人の患者のうち、大阪府が43人で最も多く、兵庫、千葉両県がいずれも21人、東京都11人と続く。年齢別では20代が38%と最多で、30代が20%。乳幼児から若年層が中心で、40歳未満が9割近くを占めている。
はしかは感染力が強く、空気感染する。感染防止にはワクチン接種が有効だが、厚労省の専門家部会では複数の委員が「ワクチンが足りないとの声がある」と指摘、子どもの定期接種を優先することを確認した。
日本は、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局によって2015年3月にはしかが「排除状態」と認定。全国の地方衛生研究所が最近の患者のウイルスの遺伝子型を調べたところ、判明分は大半が中国や東南アジアに多いタイプだった。そのため感染研は、今回の感染は海外から持ち込まれたウイルスが国内で広がったとみている。
大阪での集団感染について、感染研の多屋馨子・感染症疫学センター第三室(予防接種室)長は「適切な対応で3次感染はおさえられたと考えている」と分析。「未接種や1度しかワクチンを受けたことがない人は、ワクチンが十分流通した後に接種を受けてほしい」と呼びかけている。