低炭水化物ダイエットは置き換える脂質の種類に注意を
【欧州糖尿病学会取材班 2014年9月20日】
オランダ University Medical Center Utrecht - Marjo Campmans 氏
低炭水化物食で炭水化物を脂質に置き換える場合、脂肪酸の種類によって全死因死亡率や心血管疾患(CVD)死亡リスクが異なることが示された。オランダUniversity Medical Center UtrechtのMarjo Campmans氏が、第50回欧州糖尿病学会(EASD2014、9月16~19日、ウィーン開催)で発表した。
炭水化物を脂質に置き換える低炭水化物食では、やがて血中脂質を悪化させ、死亡リスクを増加させる高脂肪食につながる恐れがある。また、2型糖尿病患者がどの種類の脂質を炭水化物の置き換え食品とすべきかは、いまだに議論があるところだ。そこでCampmans氏らは、炭水化物を(1)総脂質、(2)飽和脂肪酸(SFAs)、(3)一価不飽和脂肪酸(MUFAs)、(4)多価不飽和脂肪酸(PUFAs)と置換した場合について、全死因死亡、CVD死亡リスク、5年間の体重変化との関連を検討した。
対象は、欧州の癌と栄養に関する前向きコホート研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition:EPIC)に含まれる2型糖尿病患者6192人とした。平均9.2年間のフォローアップ期間中に、791例が死亡し、そのうちCVDによって死亡したのは268例だった。
解析の結果、炭水化物10gを総脂質またはSFAsへ置き換えると、全死因死亡リスクが増加していた。一方、MUFAsに置き換えるとリスクは低下した。CVD死亡リスクは、炭水化物をSFAsまたはPUFAsに置換した場合に増加した。炭水化物を総脂質またはMUFAsに置換した場合、5年間で体重が減少していた。MUFAsは有意な減少だった。
これらの結果からCampmans氏は、「糖尿病患者において、炭水化物を総脂質やSFAs、PUFAsに置換すると、CVD死亡リスクあるいは全死因死亡リスクが上昇した。一方、MUFAsへの置換は全死因死亡リスクの低減と関連した」と結論し、「低炭水化物食のガイドラインは、炭水化物を脂質に置き換えることを推奨するのではなく、脂肪酸の種類に焦点を当てるべき」と提言した。