軟性S状結腸鏡スクリーニングは大腸癌死亡を26%減らす
男性と65歳以上で顕著なリスク低下
【2012年6月21日】
55歳から74歳の男女15万4900人を対象にした。
軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニングを2回(初回と3~5年後)実施する介入群(7万7445人)と、通常のケアを行う対照群(7万7455人)に無作為に割り付けられた。
主要評価指標は大腸癌死亡に、2次評価指標は大腸癌の罹患、診断時の癌のステージなどに設定した。
スクリーニングに割り付けられた介入群の83.5%がベースラインで軟性S状結腸鏡検査を受け、54.0%が3~5年の時点で再検査を受けていた。2回の検査を両方とも受けていたのは全体の50.9%だった。
11.9年(中央値)の追跡で、大腸癌罹患は介入群の1012人に発生、罹患率は1万人-年当たり11.9だった。対照群は1287人で、罹患率は1万人-年当たり15.2になった。介入群の相対リスクは0.79(95%信頼区間0.72-0.85、P<0.001)と、有意に低かった。
遠位大腸癌は、介入群の479人と対照群の669人に発生し、相対リスクは0.71(0.64-0.80、P<0.001)。近位大腸癌はそれぞれ512人と595人に発生し、相対リスクは0.86(0.76-0.97、P=0.01)と、いずれも介入による有意なリスク低下を示した。
介入群のうち、男性の大腸癌罹患の相対リスクは0.73(0.66-0.82、P<0.001)、女性では0.86(0.76-0.98、P=0.02)だった。55~64歳の相対リスクは0.78(0.69-0.87、P<0.001)、65~74歳では0.79(0.71-0.89、P<0.001)で、いずれも差は有意だった。
主要評価指標である大腸癌死亡は、介入群の252人、対照群は341人に発生した。1万人-年当たりの大腸癌死亡率はそれぞれ2.9と3.9で、介入群の相対リスクは0.74(0.63-0.87、P<0.001)になった。
遠位大腸癌による死亡は、介入群が87人、対照群が175人で、相対リスクは0.50(0.38-0.64、P<0.001)と有意差を示した。近位大腸癌死亡は143人と147人で、相対リスクは0.97(0.77-1.22、P=0.81)と有意差はみられなかった。
介入群のうち、男性の大腸癌死亡の相対リスクは0.66(0.53-0.81、P<0.001)と有意だったが、女性では0.87(0.68-1.12、P=0.28)となり、リスク低下は有意でなかった。また、55~64歳の相対リスクは0.84(0.67-1.06、P=0.16)で有意差は見られず、65~74歳は0.65(0.52-0.82、P<0.001)と有意なリスク低下を示した。
大腸癌罹患者のうち、ステージ I または II の早期大腸癌と診断された患者の割合は、スクリーニングで癌が発見された患者では75.4%、スクリーニングを受けなかった患者では50.9%、介入群でスクリーニング以外の機会に大腸癌が見つかった人々では50.7%だった。
軟性S状結腸鏡を用いた大腸癌スクリーニングを受けた人々は、大腸癌罹患率と大腸癌死亡率が有意に低いことが明らかになった。