「器械出しは看護師の仕事か?」医行為の線引き難航
【2012年4月24日】
厚労省は4月23日、昭和大救急医学教授の有賀徹氏を座長とする「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」の第21回会合を開き、2010年夏に実施した看護業務実態調査で取り上げた203項目(現在看護師が行っている医行為、将来的に一般看護師が実施可能と想定される医行為、将来的に特定看護師〔仮称〕が実施すべき医行為、他職種による実施が適当と考えられる業務)をA~Eに分類する作業を進めた。現在、56項目まで終えたが合意には至っていない。
厚労省は前回会合で50項目を示し、今回新たに6項目を追加した。厚労省は56項目の行為について、技術や判断の難易度に応じて、A(絶対的医行為)、B(特定行為)、C(一般の医行為)に分類。これらABC以外の行為をD(要検討)、E(非医行為)とした。医師しか実施できないA分類は現在、「局所麻酔(硬膜外・脊髄くも膜下)」のみで、特定の看護師が実施できるBは29項目、一般の看護師でも行えるCは18項目、Dは3項目、Eは5項目としている。
器械出しは看護師の仕事か?
厚労省は、手術の進行をサポートする「手術時の臓器や手術器械の把持及び保持」(手術の第一・第二助手)について、技術的な難易度が高いB1に分類したが、異論があった。
東大大学院医学系研究科教授の真田弘美氏は「手術の助手は医師がすべきだと一般のナースは思っているのではないか」とA分類の可能性を示唆しつつも、「器械出しが看護である意味は、手術の流れを滞らせず、できるだけ早く手術を終わらせるところにある。そういう意味で、器械出しのナースは直接介助のナースと何も変わらないのでCかなとも思う。非常に悩ましい」と述べた。
一方、星総合病院理事長の星北斗氏は「看護師でなければ器械出しができないのか。患者さんに触れれば別だが、手術室に入って器械を出すという行為は診療の補助ではない。どこの誰がやったっていい。器械出しは看護師の仕事だと明示するのか」と述べ、特定の看護師のみができるB(特定行為)に位置付ける厚労省案に反対した。
これに対し、厚労省医政局医事課課長補佐の石井安彦氏は「器械出しには様々あり、医師が道具を受け取る時に手元を見るような場面もあるし、術野から目を離さず手元を見ないで受け取るような状況もある」と説明、「医行為に該当するかを個別具体的に判断させていただく」と答えた。
「他職種への影響に注意が必要」
他職種との関係も問題になった。「CT・MRI検査の画像評価」について厚労省は「B2またはE」としており、「行為を実施するタイミング等について判断の難易度が高い」(B2)とする一方、「医行為に該当しない」(E)と判定した。