日焼け「しみ」修復遺伝子を発見 紫外線に弱い患者、回復も 長崎大など国内外3チーム
【2012年4月3日】
少しでも日光を浴びると皮膚が赤くなるなど、強い日焼けの反応を示す遺伝性の病気「紫外線高感受性症候群」を引き起こす遺伝子を見つけたと、長崎大とカネボウ化粧品(東京都中央区)のチームが2日、発表した。日焼けメカニズムの解明につながる成果で、1日付のネイチャー・ジェネティクス(電子版)に掲載された。大阪大や東北大などのチームとオランダの研究所などのチームも同じ遺伝子を発見、同時に同誌に発表した。
皮膚が紫外線を受けると、細胞内のDNAが傷つく。ダメージを最小限にとどめるため、皮膚細胞には自らDNAを修復する仕組みがあるが、日焼けを繰り返すうちに修復が追いつかずしわやしみなどの老化につながるとされる。修復過程でどの遺伝子がどう働くかは謎だった。
長崎大チームは、同症候群の患者2人の全遺伝情報(ゲノム)を解読して比較、原因遺伝子「UVSSA」を特定した。患者の細胞には、UVSSAによって作られるはずのたんぱく質がほとんど存在せず、DNAを修復する能力は通常の4~6割程度だった。そこで患者の細胞に正常なUVSSA遺伝子を入れたところ、修復能力が正常レベルまで回復することも確かめた。
カネボウの高橋慶人主任研究員は「今後はこの遺伝子の役割を調べ、日焼けのしやすさの個人差を解明したい。UVSSAの機能を高める技術を開発し、日焼けしにくい皮膚づくりを提案したい」と話す。