鳥フル致死率は過大評価 H5N1、米研究者が指摘
【2012年2月24日】
H5N1型の鳥インフルエンザウイルスが人に感染した場合の致死率は約60%と極めて高いとされているが、過大評価の可能性があるとの研究結果を、米マウントシナイ医大の研究チームが23日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
ただ、実際の感染者数は報告を上回る可能性があるといい、チームは「ウイルスの本当の感染率や致死率を確かめるために大規模な調査が必要だ」としている。
チームは、鳥インフルエンザが小規模な流行を起こしたインドネシアを含む東南アジアで過去に実施された、住民の血清を調べた20の研究論文を精査した。
対象となった約1万2700人のうち、1~2%の血清中にH5N1型ウイルスの抗体が見つかった。この抗体を持った人たちは主に、過去に感染はしたが、症状が軽かったか、発症しなかったことを意味する。
世界保健機関(WHO)は2003年以降、今月22日現在までに、586人が発症し、うち346人が死亡したと発表しているが、無症状や症状が軽い例は患者の数に加えていない。こうした感染者を加えれば、H5N1型の致死率は今より低くなるという。