発覚遅れる女性の心筋梗塞…病院到着に2時間差
【2011年10月24日】
心筋梗塞になった患者のうち、女性は男性よりも、専門病院までの到着時間が2時間近く遅いことが、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)など全国27施設による共同調査でわかった。
女性では典型的な症状の胸痛が表れにくく、危機的な状態だと気づかないケースが多いためという。
調査は2008~09年に、発症から3日以内に入院した1826人(男性1366人、女性460人)を対象に実施。発症から来院までの時間は、男性が平均7・5時間だったのに対し、女性は同9・4時間だった。女性患者の発症年齢が男性より平均で10歳高く、女性の死亡率(13%)は男性(6・4%)の2倍以上になっていることも判明した。
女性の来院が遅れる理由について、調査を主導した同センター心臓血管内科部門の横山広行特任部長は「女性はホルモンバランスの違いなどで、胸痛が表れにくいかもしれない」と分析。男性に比べて罹患(りかん)者が少なく、「心筋梗塞は男性の病気」との誤解から、胸痛を感じていても専門病院ではなく、最初は身近な診療所を受診する患者もいるという。
治療による救命率は発症から時間がたつほど下がる。患部の血管を内側からステント(金属製の筒)で広げる治療の効果は、発症から2時間以内が最も高く、その後は次第に落ちる。横山特任部長は「治療の開始は一刻を争う。疑わしい症状があれば、すぐに医療機関を受診するか、電話で相談してほしい」と訴える。