魚を食べれば糖尿病予防 ただし男性のみ… 国立がんセンター調査
【2011年8月18日】
魚を多く食べる男性ほど、糖尿病になる危険性が低くなるとの調査結果を、国立がん研究センターなどのチームが17日、発表した。米臨床栄養雑誌(電子版)に掲載された。
調査は95年と98年に実施。対象は45~74歳の男女計5万2680人で、魚介類を食べる頻度や量、種類を尋ね、摂取量が少ない人から順番に並べ4群に分類。各群の真ん中に位置する人の1日当たりの摂取量は、男性の場合(1)36・6グラム(2)65グラム(3)100・8グラム(4)171・7グラムとなった。
追跡調査の結果、それぞれ5年後に糖尿病を発症していた人は男性572人、女性399人。各群の発症者の割合(発症率)は、男性で(1)2・9%(2)2・5%(3)2・4%(4)2・2%――となり、摂取量が多い群ほど発症率が低い傾向があった。発症リスクを計算したところ、摂取量が最多の(4)は最少の(1)より約3割低かった。一方、女性は摂取量と発症リスクに相関関係が見られなかった。
魚の種類によっても違いが見られ、小・中型の魚(アジ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギなど)と、脂の多い魚(サケ、アジ、イワシ、サンマ、タイ類など)を多く食べる男性ほど発症リスクが低下することも分かった。マグロ、カツオ、タラなどに代表される、大型で脂が少ない魚では、摂取量と発症リスクの関連は確認されなかった。
チームの南里明子・国立国際医療研究センター栄養疫学研究室長によると、魚の脂などに多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)、ビタミンDなどが、糖尿病を防ぐインスリンの量や効きやすさに良い効果を与えた可能性がある。女性で差が見られなかった理由として、糖尿病発症を抑える栄養素が男女で異なることや、女性は男性に比べ体脂肪が多いため、魚に蓄積された水銀などの環境汚染物質を体内に取り込みやすく、魚の栄養効果を打ち消した可能性もあるとしている。