2検査併用で発症予測 「予備軍」リスクは32倍 糖尿病、早期発見に有効
【2011年6月27日】
過去1~2カ月の平均血糖値を反映する「Hb(ヘモグロビン)A1c」と空腹時血糖値の二つの血液検査で、いずれも"糖尿病予備軍"だった人が実際に糖尿病を発症するリスクは、両方とも異常なしの人の約32倍との研究結果を、筑波大と虎の門病院(東京)のチームが英医学誌ランセットに25日、発表した。
進行すると脳血管や心臓の病気、網膜症などの合併症を引き起こす糖尿病の早期発見は大きな課題。日本糖尿病学会は昨年の診断基準改定でHbA1cを重視し、血糖値と同じ日の測定を推奨した。今回の研究でも、どちらか一つの検査では発症リスクは6倍程度で、併用の有効性の高さを示した。
虎の門病院の人間ドックの受診者で糖尿病の既往歴がない約6200人のうち、HbA1cや空腹時血糖値が比較的高いものの、糖尿病の基準には達しない予備軍の「前糖尿病状態」だった約2100人を追跡した。
約5年のうちに糖尿病を発症したのは、HbA1cだけが高かったグループでは7%、空腹時血糖値だけでは9%、二つとも高かったグループでは38%だった。
一方の検査結果で予備軍だった人の発症リスクは、ともに正常な人の6・0~6・16倍。両方の結果とも予備軍とされた人は31・9倍で、飛躍的に高かった。
研究チーム代表の曽根博仁(そね・ひろひと)・筑波大教授は「二つを組み合わせれば、将来の発症者の見逃しを減らせる。リスクが非常に高く、できるだけ早期にケアが必要な人も見つけることができる」と話している。