子どもの寝不足、脳に影響 自閉症緩和への応用も
【2011年6月22日】
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所(同県春日井市)は21日、乳幼児期の不規則な睡眠が原因で脳内の脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質の分泌リズムが崩れ、脳の発達に支障が出ることをラットの実験で証明したと発表した。
仙波りつ子(せんば・りつこ)共同研究員は「ヒトでも乳幼児期に早寝早起きの規則正しい生活をしないと、脳に障害を起こす危険性がある」と指摘している。
実験では、ヒトの乳幼児期にあたる生後6日のラットを9日間、眠っている時にかごを揺らすなどして睡眠不足にした場合、大脳皮質内のBDNFの分泌リズムが乱れることが判明。
BDNFは、脳の神経細胞同士をつなげ、脳の発達を促進するタンパク質シナプトフィジンを形成する。睡眠環境の悪いラットではシナプトフィジンの量が減少しており、BDNFの量が一定しないと形成が阻害されることが分かった。
また、自閉症の人にみられる遺伝子の異常を人工的に再現したマウス(ラットより小型)でも同様の現象を確認。自閉症は脳の発達障害の一種のため、自閉症の子どもの睡眠バランスを薬物で改善することなどで、症状を緩和できる可能性もあるという。