細胞の増殖と分化促進 再生医療応用も、鳥取大
【2011年3月31日】
胎児の心臓では特有のタンパク質が働き、心筋細胞の増殖に一定のブレーキをかけ、心筋への細胞分化を促進して増殖と分化の両方がバランス良く進むように制御していることを鳥取大の竹内隆(たけうち・たかし)教授(元三菱化学生命科学研究所)のチームが世界で初めて明らかにした。
心筋細胞を再び増殖させる再生医療や、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から効率良く目的の細胞を作製するのに役立つ可能性がある。
細胞は、特殊な機能を持つさまざまな細胞に分化していく。細胞の増殖が活発な時は分化が抑えられるが、分化が進むと増殖は抑えられる。だが胎児では成長に合わせた心臓のポンプ機能が必要なため、分化と増殖の両方が欠かせない。
竹内教授らはマウスで、jumonjiというタンパク質が胎児の発生途中から働きはじめ、増殖を抑えつつ維持し、同時に分化を進めていることを解明した。成果は29日付の英・発生生物学専門誌デベロップメント(電子版)に掲載された。