摂食障害、100人に2人 女子中生「予備軍は数倍」 危険ダイエットに警鐘 厚労省研究班が初調査
【2011年3月10日】
女子中学生の100人に2人は専門医の治療や指導が必要な摂食障害と推計されることが1日、厚生労働省研究班の初の大規模調査で分かった。
調査した国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の小牧元(こまき・げん)・心身医学研究部長は「予備軍はこの数倍はいるだろう」とした上で、「過度の食事制限は成長期の中高生に特に悪影響が大きい。ダイエットをよしとする風潮が子どもを危険にさらしている可能性もある」と指摘。摂食障害は、自覚がなく治療が難しいケースが多く、きちんと食べるよう教える予防策や、専門機関によるサポート体制の充実が求められそうだ。
調査は2009~10年、関東と中国地方の計2都市の36中学校に通う約8千人を対象に実施。国際的な標準に基づき、体形や食事への意識など28項目を尋ね、5161人(女子2604人、男子2557人)から有効回答を得た。その結果、女子の1・9%、男子の0・2%が、身体だけでなく心の問題にも対応できる専門の医師の下で治療や指導を受ける必要がある摂食障害と判断された。
拒食症につながりかねない痩せることを目的にした行為(直近の4週間に2回以上)をみると、「下剤を使った」は女子1・1%、男子0・7%▽「口に手を突っ込むなどして吐いた」は女子1・4%、男子0・9%▽「食事を抜いた」は女子3・6%、男子2・6%▽「過度の運動をした」は女子6・8%、男子3・8%-だった。
一方、過食症への入り口にもなる「むちゃな大食いを直近の4週間に8回以上した」のは女子3・5%、男子1・3%だった。
摂食障害とされた女子は(1)夜遅くまで起きている(2)家族との食事は楽しくない(3)家族から「もう少し痩せたら」と言われる(4)気持ちを本当に分かってくれる人は誰もいない-などに当てはまる傾向があった。
※摂食障害
拒食症と過食症に大別される精神疾患の一種。主に女性がかかり、死に至ることもある。拒食症の場合、病気の自覚がないまま、食事の量を極端に減らし、食後に口に手を突っ込んで吐いたり、下剤を大量に飲んだりする。過食症では、食欲のコントロールが効かず、大食いを繰り返す。一つの原因として、人間関係や家庭環境などから生じるストレスにうまく対処できないためとの指摘もあるが、はっきりしていない。厚生労働省研究班の調査では、1980~98年の間に約10倍に増えた。