乳幼児の手足口病が急増 重症化タイプ流行か
【2010年5月13日】
主に乳幼児の口の粘膜や手、足に水疱(すいほう)性の発疹(ほっしん)ができる「手足口病」の患者が急増し、この時期としては過去11年間で最多になっていることが、国立感染症研究所の集計で2日分かった。
原因となる「エンテロウイルス」にはさまざまなタイプがあるが、報告されているのは、髄膜炎などの中枢神経系の合併症を引き起こす恐れがある「EV71」が半分以上を占めており、同研究所は「通常とは違う頭痛や高熱などが起きた場合は、すぐに医療機関を受診してほしい」と呼び掛けている。
同研究所によると、全国約3千の小児科定点医療機関から報告された患者数は、4月18日までの1週間の平均が0・55人と3週連続で増加。昨年同時期の7倍で、ほとんどは5歳以下の乳幼児。通常は流行するのは夏で、この時期としては非常に患者が多いという。これまでに重症患者の報告はない。
ウイルスに感染して3~5日の潜伏期間の後に口や手、足などに2~3ミリの水疱性発疹ができる。ほとんどは軽症で数日で治癒するが、EV71に感染した場合は重症化する場合がある。
過去には日本でも死者が出たほか、最近では中国などでEV71による死者が出ている。
接触などによって感染するため、予防には、手洗いの励行や排せつ物の適切な処理が重要。
同研究所の安井良則(やすい・よしのり)主任研究官は「今年は流行の立ち上がりが早く、さらに患者が増えることが予想され、警戒が必要だ」と話している。