メタボより高血圧対策が重要
【2009年4月23日】
脳卒中や心筋梗塞(こうそく)など循環器疾患の予防には、肥満に重点を置いたメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、メタボ)対策よりも高血圧対策が重要であることが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の大規模調査で分かった。
国のメタボ検診では、メタボに当てはまらないが高血圧で発症リスクの高い人を、見逃す恐れがあるという。
研究班は、全国の40-69歳の男女約2万3000人を平均約11年間にわたり調査。その間に693人が循環器疾患を発症した。
もし全員の血圧を正常にした場合、男性で48%、女性で45%の心筋梗塞や脳梗塞を減らせると推計された。
一方、メタボを解消しても男性で12%、女性で8%の改善効果しかないと考えられるという。
国のメタボ基準は肥満だけが必須条件で、高血圧の人でも、高血糖や脂質異常がないと「メタボ」とならない。分析した磯博康・大阪大教授(公衆衛生学)は「日本人は欧米人に比べ肥満者の割合が小さい。肥満ばかりに目を向けず、高血圧対策を優先する必要がある」と話している。