緑茶カテキンで再発を予防 大腸ポリープ切除後1年で
【2008年10月14日】
緑茶成分のカテキンを含む錠剤を飲み続けると大腸ポリープの再発が抑えられることを、岐阜大医学部の清水雅仁(しみず・まさひと)助教や森脇久隆(もりわき・ひさたか)教授らが臨床試験で確かめた。名古屋市で28日から開かれる日本癌(がん)学会で発表する。
大腸がんのもとになるポリープの再発予防が緑茶錠剤の臨床試験で実証されたのは初めてという。手軽な緑茶錠剤によるがん予防の可能性をうかがわせる成果といえる。 臨床試験には、岐阜大病院など岐阜県内の4病院が参加した。大腸ポリープを内視鏡で切除した125人のうち60人に緑茶錠剤3錠(計1.5グラム、6杯分)を毎日飲んでもらい、飲まない65人と、1年後に大腸を内視鏡で検査して、ポリープ再発率を比べた。
再発率は、緑茶錠剤を飲まなかった人では31%だったのに対し、錠剤を飲み続けた人たちでは15%と明らかに低かった。再発したポリープのサイズも、錠剤を飲んだ人で小さい傾向があった。 緑茶錠剤を飲んでも、1日に緑茶を飲む量が3杯以下と少ない人の再発率は60%と高かった。毎日飲む緑茶が多いほど、ポリープの再発が抑制されることも裏付けた。
森脇教授は「薬ではなく、日常生活で取りうる物質で大腸ポリープ再発予防効果が確かめられた意義が何より大きい。緑茶をよく飲むという生活習慣で予防できる可能性もある」と話している。 ▽緑茶のがん予防効果 緑茶のがん予防効果 緑茶を大量に飲む埼玉県の住民を対象にした埼玉県立がんセンターの調査で見つかった。ほかの疫学調査で異なる結果も出ているが、カテキン摂取量で1日10杯以上が必要とされる。
埼玉県農林総合研究センターが緑茶抽出物を固めた錠剤を作った。「緑茶サプリメント」として市販もされており、岐阜大の大腸ポリープ再発予防試験に使われた。