食道がん:野菜、果物で危険半減 飲酒、喫煙習慣あっても効果--厚労省研究班
【2008年8月14日】
◇男性3万9000人調査
野菜と果物を多く食べる男性は、あまり食べない男性に比べ、食道がんになる危険性がほぼ半減することが、厚生労働省研究班(担当研究者、山地太樹・国立がんセンター予防研究部研究員)の調査で分かった。今月号のがんに関する国際誌電子版に掲載された。
研究班は95年と98年、8県の45-74歳の男性約3万9000人を対象に、食事に関するアンケートを実施し、野菜と果物の1日あたりの摂取量を推計した。04年までに、116人が、食道がんのうち日本人の大半を占める「扁平(へんぺい)上皮がん」と診断された。国内の食道がんの患者は、男性が8割以上とされる。
分析の結果、野菜と果物の合計摂取量が1日平均544グラムと最も多いグループが食道がんになる危険性は、最も少ない同170グラムのグループの52%にとどまった。また摂取量が1日100グラム増えると、危険性は約10%減った。
種類別では、キャベツや大根などのアブラナ科の野菜の摂取と、危険性の低下に関連が認められた。
喫煙、飲酒習慣がある人でも、野菜と果物を多く食べると危険性が減った。喫煙習慣があり、日本酒を1日2合以上飲む人では、多く摂取する人の危険性が、少ない人より6割以上も低かった。
山地研究員は「食道がんの予防には、禁煙、禁酒が第一だが、野菜と果物の摂取にも予防効果が期待できることが分かった。アブラナ科の野菜は、がんを抑制するとされる成分『イソチオシアネート』を多く含むため、効果があるのではないか」と話している。