人工着色料・食品添加物(AFCA)は子どもの多動性を増強する
【2008年3月31日】
本報告がLancet誌オンライン版に掲載されるや、欧米では大きな反響が巻き起こったという。この試験で用いられている人工着色料・食品添加物(AFCA)の多くは日本でも使用されているため、今後、本邦においても広範な議論が展開されることを期待したい。
AFCAの子どもの行動への影響が指摘されて30年以上が経過している。AFCAによる主な行動障害は多動性(過活動、衝動性、不注意)と推察されるため、この行動パターンを示す子どもは注意欠陥多動性障害(ADHD)でない場合でも、ADHDと診断されている可能性がある。また、最近のメタ解析ではADHDに対する有意な影響も示唆されている。
197名の子どもが2種類のAFCA含有ジュースとプラセボを飲用
本研究は、3歳児153名、8-9歳児144名を対象とした。各年齢群とも同じプロトコールに従ってAFCAを含む2種類のジュース(ミックスAおよびB)あるいはプラセボを6週間飲用した。
ミックスAには、人工着色料20mg[黄色5号5mg+カルモイシン(日本指定外)2.5mg+黄色4号7.5mg+赤色102号5mg]+保存料(安息香酸ナトリウム45mg)が、ミックスBには人工着色料30mg[黄色5号7.5mg+カルモイシン(日本指定外)7.5mg+キノリンイエロー(日本指定外)7.5mg+赤色40号7.5mg]+保存料(安息香酸ナトリウム45mg)が含まれた。
3歳児には1袋56gのお菓子2袋に相当する量のジュースにミックスA、Bを混ぜ、8-9歳児には2袋相当にミックスAを、4袋相当にミックスBを混合した。主要評価項目は、観察された行動のスコアおよび教師、両親による点数化に基づく全体的多動性集計(GHA)とし、8-9歳児にはコンピュータによる注意力の検査も実施した。
3歳児、8-9歳児ともに、AFCAによる有害作用を確認
16名の3歳児および14名の8-9歳児が、行動とは無関係の原因で試験を完遂できなかった。ミックスAは、すべての3歳児においてプラセボに比し有意に多動性のレベルを上昇させた(p=0.044)が、ミックスBとプラセボには有意差は認めなかった。ジュースを85%以上飲用した3歳児に限定した解析でも同様の結果であった(p=0.02)。
8-9歳児は、ジュースを85%以上飲用した場合に限定した解析でミックスA(p=0.023)、ミックスB(p=0.001)ともプラセボに比し有意に多動性レベルが上昇した。
多動性をもたらす特定の有害物質は不明
McCann氏は「食品中の人工着色料または保存料(もしくはその両方)は、一般集団における3歳児、8-9歳児の多動性を増強する」と結論している。
また、同氏は「今回の試験では各ミックス中の特定の有害物質は決定できない」とし、「食品への人工着色料の添加は不要と考えられるが、安息香酸ナトリウムは重要な保存機能を持つため同一には扱えない」と指摘している。
(菅野 守:医学ライタ-)
※2007/11/15(木) の情報より