イソフラボンで乳がん減少る
【2008年3月7日】
大豆などに含まれるイソフラボンの一種「ゲニステイン」の血中濃度が高い女性は、低い女性に比べ乳がんになる危険性が約3分の1となるとの疫学調査を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎(つがね・しょういちろう)国立がんセンター予防研究部長)が7日発表した。血中濃度は食事として摂取する量に比例して高くなるという。
調査は岩手、秋田、大阪など9府県の40~69歳の女性約2万5000人を平均で10年半追跡。この間に乳がんになった144人と、ならなかった288人について、保存してあった血液の成分を比較した。
血中のゲニステインの濃度で対象を4グループに分けた結果、中央値が血液1ミリリットル中に約354ナノグラム(ナノは10億分の1)と最も多いグループは、約32ナノグラムと最小のグループより乳がんの危険性が3分の1と低かった。もう1つのイソフラボン「ダイゼイン」では同様の関連はみられなかった。
研究班の岩崎基(いわさき・もとき)・国立がんセンター室長によると、354ナノグラムは1日当たりイソフラボン約47ミリグラムを摂取した結果と推定され、豆腐なら約3分の1丁の100グラム、納豆なら50グラムに相当するという。
一方でイソフラボンは、過剰摂取による発がんの危険性も指摘されている。岩崎室長は「今回は食事で摂取する範囲の結果であり、サプリメントなどの影響についてのデータはない」としている。