メタボ対策:まず週2時間半の速歩から 内臓脂肪、1週間で0.3%減
【2007年9月28日】
内臓脂肪を確実に減らすには、習慣になっている日常生活の中での活動や運動に加え、1週間当たり「速歩(分速90-100メートル程度)で2時間半以上」に相当する運動を追加する必要があることが、国立健康・栄養研究所の研究で分かった。内臓脂肪面積100平方センチの人が1週間で1平方センチ減らすには、毎日1時間程度の速歩相当の運動が必要だという。
研究チームは、1966-06年5月に発表された内臓脂肪と運動の関係について報告している論文のうち、内臓脂肪面積をCT(コンピューター断層撮影装置)かMRI(磁気共鳴画像化装置)で測定していることなど、一定の基準を満たした日本など5カ国、計16本の研究結果を分析した。
各論文の対象者は計582人で、平均年齢は22-67・5歳。肥満度を示すBMIの平均は25・3-35・9だった。対象者は食生活は変えず、ウオーキングなど一定の時間持続することが可能な運動を週3-7回、8週間-1年続けていた。研究では、身体活動の強度を示す単位「メッツ」を使用。速歩は4メッツで、速歩を2時間続けた時の活動量を「8メッツ・時」と換算した。
2型糖尿病など代謝性疾患の患者を除いた425人分を分析すると、週に約10メッツ・時以上の運動をした場合に、内臓脂肪が減少した。週に10メッツ・時(速歩2時間半相当)の運動をすると、1週間で内臓脂肪が0・342%減少し、活動量に比例して減少の程度も増加。週に27メッツ・時(速歩毎日1時間程度相当)の運動をすると、内臓脂肪が1%減となった。
来年度からメタボリック症候群(内臓脂肪症候群)対策に重点を置いた新しい検診・保健指導が始まるが、どれくらいの運動をすれば、内臓脂肪がどの程度減るかを示す科学的根拠に基づいた基準は明らかでなかった。研究チームの大河原一憲・同研究所リサーチレジデントは「実際は、運動と食事を組み合わせて指導するケースが多いはずだが、これまであまり体を動かす機会のなかった人は、まず週10メッツ・時の運動を目指してほしい」と話している。