大腸がんインスリンも関係 分泌多いと高リスク
【2007年3月1日】
記事:共同通信社 ・提供:共同通信社
血液中の糖分を筋肉などが取り込むのを促すホルモン、インスリンの値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸がんになりやすいとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎(つがね・しょういちろう)国立がんセンター予防研究部長)が1日発表した。
こうした人は肥満や高インスリン血症、糖尿病に陥っている恐れがあり、ホルモンバランスが崩れることも加わって発がんを促している可能性があるという。
インスリンは健康診断などで一般的に測定されてはいないが、研究班の大谷哲也(おおたに・てつや)・群馬大助手によると、生活習慣を改善し肥満を解消すれば、低下させるのに役立つ。同助手は「将来は、大腸がんのリスクを評価する指標にインスリン値を使えるかも」としている。
研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。体内でインスリンがつくられる際にできる副産物でインスリン測定の代用になる「Cペプタイド」の血中濃度と大腸がん発症との関係を調べた。
その結果、男性ではCペプタイド濃度が高いと発症の危険度が上昇する傾向を確認。最も濃度が高いグループの危険度は、最も低いグループの3.2倍だった。特に結腸がんでこの傾向が強く、危険度は3.5倍に拡大した。
女性ではこうした傾向はみられなかった。大谷助手は「性や地域によって発がんの仕組みが異なるのかもしれない」と分析している。