ビタミンCは白内障を予防 食生活で発症に差
【2007年2月27日】
食事を通じてビタミンCを多く取る人は、摂取量の少ない人に比べて老人性白内障にかかりにくいとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎(つがね・しょういちろう)国立がんセンター予防研究部長)が27日発表した。
老人性白内障は、レンズの役目を果たす目の水晶体が老化に伴って白く濁る病気。ビタミンCは酸化反応を抑えて水晶体タンパクを守る働きがあるとされる。
欧米でも同様の調査結果はあるが、日本を含むアジア人で予防効果が確かめられたのは初めて。研究班の吉田正雄(よしだ・まさお)・杏林大助手は「普段の食事で果実や野菜をバランス良く多めに取るのが効果的」と話している。
研究班は、岩手、秋田、長野、沖縄の4県で、45-64歳の男女約3万5000人を1995年から5年間追跡。白内障にかかった767人の食生活と、かからなかった人の食生活を調べたところ、ビタミンCを日本人の平均的な摂取量(1日に110-120ミリグラム)の2倍近く取る人は、半分程度しか取らない人に比べ、男性で35%、女性で41%、白内障になりにくいことが判明した。手術が必要なほど重症化する危険度は、男女とも30%以上低くなっていた。
ビタミンCは、ミカン1個当たり30-35ミリグラム、イチゴに約9ミリグラム、レモンに約20ミリグラム含まれる。
吉田助手は「多く取っても副作用はないが、たばこを1本吸うとレモン1個分以上が破壊されてしまうので要注意」と指摘している。