ピロリ除菌後は受診率低下 胃がんの発見遅れも 「東北発かがくの時間」
【2006年12月27日】
胃かいようなどの患者で、病気の原因となるピロリ菌の除菌治療をした人はしなかった人に比べ、1年ごとの定期検査を受ける割合が最大約15%減少し、かえって胃がんの発見が遅れる危険性もあることが26日までに、山形県立中央病院など県内の医療機関の共同調査で判明した。
除菌治療を受けることで、患者が「胃の病気から解放された」と自己診断し、病院に行かなくなるケースが多いらしい。
ピロリ菌は胃に生息する細菌。主に5歳ぐらいまでに感染する。
胃かいようや十二指腸かいようの治療では除菌の効果は極めて高い。
除菌で胃がんの予防も期待されていて、今回の調査では「除菌すると発症が3分の1に減少」という結果が出た。
今回の調査は同病院を中心に県内の83の医療機関が協力して実施。2000年からの約3年間に胃かいようや十二指腸かいようの患者約4200人が登録、現在もピロリ菌の除菌と胃がん発生率の関係などを継続して調べている。
これまでの調査で、02年に内視鏡による定期検査を受けた人の割合は除菌治療した人が35%、しなかった人が51%だった。03-05年も検査を受けた人の割合は除菌治療した人の方が約10%低かったという。
調査の中心メンバーで同病院内科の間部克裕(まべ・かつひろ)副部長は「胃がんの発症を抑えるのにピロリ菌の除菌は有効だが万能ではない。油断せず年1回は検査を受けてほしい」と呼び掛けている。