起立性調節障害に診療指針 血流低下、中学生の1割 学会 「根性では治らず」
【2006年9月11日】
朝起きられない、立っていると気分が悪い、全身がだるいなどの症状が出て、不登校になることもある起立性調節障害の初の診療指針を、日本小児心身医学会が9日までに作った。
同障害は自律神経の働きが悪くなり立ったときに体や脳への血流が低下して起き、精神ストレスも関与する。小学校高学年から増え中学生では約1割とされるが、怠け癖や夜更かし、学校嫌いと誤解されやすく、指針は「根性だけでは治らない」と適切な診療を求めている。
指針は、同障害と診断する基準を(1)学校を休むと症状が軽くなる(2)身体症状が再発・再燃を繰り返す(3)気にかかっていることを言われると悪化する-など6項目のうち、4項目が週1-2回以上みられる場合とした。
治療法として、毎日の運動や血圧を上げる薬剤の服用、血圧低下を防ぐ腹部バンドなどの装具を紹介。4週間の治療で改善しないときや、初診時から1カ月以上の不登校が続いているときは、専門医の診療を受けるよう指導している。
生活上の注意では、健常児より取る量が少ない水分と塩分を十分に取り、立ち上がるときは30秒以上かけてゆっくり行うことなどを挙げた。日中は体を横にせず、テレビやパソコンは1日1時間以内、ともしている。
小児科医向けには、親子の不安を軽減するために疾患の特徴や発症の仕組みを説明したり、学校と連携したりするように求めた。
▽起立性調節障害
起立性調節障害 体が急激に変化する思春期に起きやすく、女子は男子より約2割多い。症状は午前中に強く午後は回復。性格的には周りに気配りし過剰に適応しようとする傾向があり、親の過干渉は治癒を遅らせるという。日常生活に支障が出る中程度の症例では1年後の回復率は約50%、2、3年後は70-80%。