ピロリ菌で胃がん危険5倍 胃炎が重なると10倍以上に
【2006年9月5日】
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している人はそうでない人より5.1倍胃がんになりやすく、委縮性胃炎や毒性の強い菌の感染が重なると危険度が10倍以上に高まるとの疫学調査の結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎(つがね・しょういちろう)国立がんセンター予防研究部長)が4日発表した。
ピロリ菌は40歳以上の日本人の70%以上が感染しているとされ、過去の調査では危険度は高くても3倍弱だったが、考えられていた以上に関係が深いことが示された。
ただ、研究班は「胃がんは喫煙や食生活による影響も非常に大きい」と指摘。ピロリ菌を薬で除菌する治療に関しては「副作用や胃がん予防効果が未知数なため慎重に行うべきだ」としている。
研究班は、岩手県や長野県など9地域で、40-69歳の男女約4万人を1990年から15年間追跡調査。胃がんになった512人の保存血液を使い、ピロリ菌感染時にできる抗体の有無などを調べた。
このうち94%がピロリ菌に感染。感染者は非感染者に比べて5.1倍胃がんになりやすく、CagAという遺伝子を持ち毒性の強い菌の場合は危険度が12.5倍に高まることが分かった。
また委縮性胃炎を起こしている人は健康な人より3.8倍胃がんになりやすく、ピロリ菌にも感染していると危険度が10.1倍に跳ね上がった。