喫煙は病気、積極治療を。女性には「美容に悪影響」 (1)
【2005年10月18日】
たばこを吸うのは「ニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病」であり、患者(喫煙者)には「積極的禁煙治療を必要とする」-。日本循環器学会など9学会の合同研究班が18日までに、一般医師向けの初の診療指針「禁煙ガイドライン」を作った。
喫煙がさまざまな病気の原因になることは知られているが、喫煙率は成人男性で47%と先進国の中では高く、研究班長の藤原久義・岐阜大教授(循環器内科)によると「自分の意思で喫煙をやめられるのは5-10%程度」。このため「たばこを吸わない社会習慣の定着」には、喫煙自体を病気と位置付けた上で、すべての医師が患者の喫煙を把握し治療を勧めることが必要と判断した。
女性には美容にも悪影響と知らせるなど、患者に応じた治療方針を盛り込んだのが特徴だ。
指針は、禁煙に効く行動療法として「喫煙者に近づかない」「吸いたい衝動が収まるまで秒数を数える」などを挙げた。
また、禁煙の意思がある患者には、自分で禁煙計画を作らせ「節煙より早道」「開始直後は(たばこが吸いたくなる)アルコールを控える」とカウンセリングを実施。意思のない場合は、喫煙によって増加する有害な一酸化炭素の呼気中濃度を測って教え、動機付けに役立てる、とした。
薬物療法では、ガムやパッチを使うニコチン代替療法を推奨した。離脱症状が軽く成功率を高め、禁煙による体重増加を遅らせる効果もある。一方で、治療中の喫煙はニコチンの過剰摂取につながるなど注意も必要だ。
ニコチン依存に陥りやすい未成年には、頭ごなしの言い方を避け、喫煙が病気であることを理解させる。女性では、悪影響が胎児や卵巣機能だけでなく、しわ、口臭など美容にも及ぶことを知らせるなど、患者に応じた指導を強調している。
医師にも、日本の男性医師の喫煙率は20%強で、欧米の医師(男女)の5%前後に比べて高い、と自省を求めた。たばこの値上げや広告禁止など、社会環境の整備の必要性も指摘した。