虫よけ剤と神経障害
【2005年8月16日】
蚊などに刺されないよう皮膚にスプレーしたり塗ったりする虫よけ剤について厚生労働省は15日、専門家らによる検討会を開き、主成分のジエチルトルアミド(ディート)の濃度や使用上限量の注意事項を添付文書に明記するよう業界を指導することを決めた。
ディートの毒性は低いとされ副作用の報告もないが、海外では神経障害を起こしたとする動物実験もあり、消費者などから安全性を心配する声が出ていたため。
「6カ月未満の子供には使用しない」などとしているカナダのガイドラインなどを参考に、具体的な記載内容を決める。また、動物実験による安全性評価や、副作用の報告を求めるシステムづくりも検討する。
検討会は、ディートの安全性や危険性を証明するデータはいずれもないが、毎年数千万人が繰り返し使用しても副作用が報告されていないことなどから、発売を禁止する必要はないと判断。その上で、欧米では安全性についての再評価が行われていることを考慮し、添付文書の改訂を求めた。
同省によると、ディートを主成分とする虫よけ剤は、国内では年間3800万人弱が使用していると推定される。濃度や使用上限量などを明記していない製品が多い。