「がん予防8カ条」 生活習慣改善、数値で指導
【2005年6月6日】
日本人のがん予防に役立つ8項目の指針を、国立がんセンターがん予防・検診研究センターの津金昌一郎(つがね・しょういちろう)予防研究部長らがまとめた。同様のものとしては「がんを防ぐための12カ条」(同センター監修)が有名だが、今回は数値を盛り込むなど、より具体的に生活習慣改善を指導しているのが特徴だ。
▽最も確実
指針はまず、禁煙を「がんになる確率を3分の2に減らせる。最も確実ながん予防法」として推奨。吸わない人には、他人の煙を吸い込む受動喫煙の危険性を警告した。
飲酒は「適度」で、具体的には「日本酒換算で1日1合(ビールで大瓶1本)以内」。
食事では、野菜・果物を1日に少なくとも400グラム取るようにする。胃がんのリスクとなる可能性が高い塩分の摂取は1日10グラム未満にして、熱い飲食物も最小限にするよう求めた。
また、毎日合計60分程度の歩行など適度な運動と、週に1回程度は汗をかく激しい運動が必要で、成人期での体重を維持する。肝臓がんの予防としては、B型やC型の肝炎ウイルスの感染に注意し、感染者は治療することが重要とした。
これらの予防法を実践する上の注意点は、特定の栄養素をとりすぎると逆に体に悪影響を与える可能性があること。特に栄養補助剤(サプリメント)の服用は注意が必要としている。
▽日光消える
がん発症に、生活習慣が与える影響は大きい。米ハーバード大の1996年の推計によると、米国人のがん死亡者の発症原因は、食事とたばこが、ともに30%で最多。運動不足(5%)、飲酒(3%)と合わせ、生活習慣が68%に上った。
そこで、どんな生活習慣が発症リスクになるか探ろうと、世界中で研究が活発に行われ、日々発信されているが、信頼性はまちまち。予防のために何をすればいいのか、判断が逆に難しくなっているのが現状だ。
12カ条から消えた項目もある。例えば「日光に当たりすぎない」。日焼けは皮膚がんのリスクになるが、日射量が少ないと消化器がんになりやすいという報告もあるためだ。