冬季に流行る感染性胃腸炎(ノロウイルスとロタウイルス)
【2005年1月21日】
冬季に流行る下痢にはノロウイルスとロタウイルスによる感染症が多い。
ノロウイルス感染
◇カキ、二枚貝にこのウイルスが検出されます。カキなどから感染し、また人から人へ少量(数個から100個程度)でも感染する。気温の低下した冬季(11月~3月)に多い。食べ物では増えず人間の体内で増えるので糞便中に多量に出ます。ノロウイルスが感染・増殖する部位は小腸と考えられています。したがって、嘔吐症状が強いときには、小腸の内容物とともにウイルスが逆流して、吐ぶつとともに排泄されます。このため、ふん便と同様に吐ぶつ中にも大量のウイルスが存在し感染源となります。
◇11月頃から1月の間に、乳幼児の間でノロウイルスによる急性胃腸炎が流行します。この時期の乳幼児の下痢便および吐ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分注意しましょう。
食べてから1~2日。吐き気、嘔吐、下痢腹痛発熱。症状は軽く1~3日で治る。治ってからも1週間くらいは便にウイルスが排泄されるので手洗いはしっかりと。
予防法は?
<家庭では>
1.カキなどは加熱して食べる。
2.調理する人はトイレの後や調理前に十分手を洗う。
3.調理器具の消毒
<営業者の方は?>
1.カキ、二枚貝はリスクを伴う。
2.下痢や風邪症状があった時は調理に従事しない。やむを得ない時は手指の消毒、調理器具にウイルスをつけない注意。
3.感染すると1週間程度は便中にウイルスが排泄されるので油断禁物。
ロタウイルス
ロタウイルスは,こどもたちの重症の下痢の主な原因です。乳幼児や小さいこどもたちでの発生が多いですが,11月から4月までの冬季に流行します。
ロタウイルスによる感染性胃腸炎の場合,潜伏期は約2日です。3-8日続く水様の下痢と嘔吐が特徴です。発熱と腹痛がしばしばおこります。咳や鼻水が見られる場合もあります。また,中には,ロタウイルスに感染しても何の症状も示さないこどももいます。治ったあとの免疫は不完全で,またかかることもありますが,二度目にかかる場合は,重症でないのが通常です。
患者から周囲の人たちへの主な感染の仕方は,患者の便の中に出てきたロタウイルスが,手などによって運ばれて,周囲の人たちの口の中に入ることによります。しかし,気道の分泌物や他の体液にもロタウイルスが少量ながらも出て来ることが報告されていて,鼻水等による感染の可能性もあります。ロタウイルスは体外の環境下でも安定であるため,ロタウイルスにより汚染された水や食物を飲食したり,ロタウイルスにより汚染されたおもちゃをしゃぶったりしても,感染します。
予防法は?
ロタウイルスによる感染性胃腸炎の予防のためには,よく手を洗うことを習慣付けることが大切です。自分のトイレの後,こどものトイレを手伝った後,こどものオムツを替えた後,調理・配膳・食事・おやつの前等には,よく手を洗いましょう。また,こどもが帰宅したときや,オムツ替え・トイレの後,食事・おやつの前等には,小さなこどもたちが手を洗うのを手伝ってあげましょう。手を洗った後,同じタオルを何回も使うことは,好ましくありません。タオルが一度病原体に汚染されてしまうと,かえってタオルが感染源となり,タオルでふくことが感染のきっかけとなってしまうことがあります。できれば,1回限りで使い捨ての紙タオルが望ましいです。