喫煙で乳がん危険4倍に 閉経前の女性のみ影響
【2004年11月30日】
たばこを吸う閉経前の女性は、吸わない人に比べ乳がんの危険性が約4倍高いことが、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎(つがね・しょういちろう)国立がんセンター予防研究部長)の大規模疫学調査で分かった。国際対がん連合の専門誌に29日までに掲載された。
受動喫煙でも危険性は上がるが、閉経後の女性ではこうした関係はみられなかった。研究班は「たばこの影響は、乳がんとかかわりの深い女性ホルモンの分泌が活発な状況下で現れやすいのではないか」としている。
研究班は、40、50代の約2万人を10年間追跡。本人の喫煙や受動喫煙と、乳がん発症との関係を調べた。受動喫煙の有無は「喫煙者と10年以上一緒に住んだ」か「職場などで毎日1時間以上煙を吸う機会がある」場合で判断した。
調査開始時に閉経前だった女性の場合、喫煙しているか過去に喫煙していた人の乳がん発症の危険性は、喫煙、受動喫煙ともない人に比べ3・9倍。受動喫煙のみの人でも、危険性は2・6倍に達した。
研究班の花岡知之(はなおか・ともゆき)・同研究部室長は「乳がんでは、女性ホルモンに関係する要因を本人の努力で変えるのは難しいが、禁煙や受動喫煙を避けることなら可能だ。乳がん予防の第一歩として考えてほしい」と話している。